ぴぴえるによるOW語り

時々OW以外のことも書きます。

今更Steins;Gateをやったのでレビュー【001】

Steins;Gate(ゲーム) 79/100点(良作)

 

記念すべき第一回目のレビューはSteins;Gate(ゲーム)です。この前インターネットが死んでいた時に、やる事が無くて暇なので一気にクリアまでやりこみました。CG&ED全回収で30時間くらいプレイしました。2009年のゲームを2021年にプレイしているわけですが、ここでは気にしない方針で行きます。

 

steinsgate.jp

 

 

以下ネタバレあり感想

 

まずシナリオは流石に評価されているゲームだけあって良かったです。タイムリープ物の作品としては、「主人公の大切な人が死んじゃうから、そのために何度もタイムリープを繰り返す」というよくあるストーリーではあるのですが、この作品が他と違うのは、「タイムリープ」についてうやむやにしなかったところです。

要はよくよく考えると時系列として成立していないよね?をちゃんと設定を決めてしっかりと成立させた所が、他と違う所な訳です。(所謂親殺しのパラドックスが作品内で起きないようにしている)

ただそれでいて、設定を詰め込めすぎた作品にありがちな、この設定いる?が全く無く、基本的にシナリオの核となる部分は丁寧な伏線も併せて綺麗に纏っていました。意外な展開や、黒幕の姿などについても、ちゃんと伏線が用意されていたのはシナリオとしてgoodでした。どんな形であれ理由があるのは、プレイしている時に「ん?」とならずに済みました。

このゲームのシナリオ上、どうしても複雑になってしまう世界線の話や設定も、「ダイバージェンスメーター」というわかりやすい形にして登場させる事で、「クリアするには、どうメールを送ればいいんだ?」では無く「この装置のパーセントが1超えたらいいのか!」にする事で、プレイヤーに分かりやすくゴールを示している所は、素直に上手いなぁと思いました。

 

また、登場するキャラクター達も良かったですね。どいつもこいつも個性が服着て歩いているみたいな連中で、そのキャラクターたちの掛け合いは面白く、やや冗長な場面も、個人的には楽しく見れました。

このゲームでは序盤、主人公が所謂厨二病で、根拠の無い自信に満ち溢れたかなり痛い奴ではあるんですが、だからこそ現実打ちのめされてその自信が揺らいだ時、そこから立ち直って自信を取り戻した時に、そのキャラクター性がより強く輝いて、とても頼もしい存在に見えるんですよね。

 

シナリオ、キャラクター共に申し分ない作品ですが、ただ正直に言うと、このゲームはぶっちゃけ良作止まりです。ゲームとしてみた時に、どうしても気になっちゃう所があって、そのせいで僕はこの評価が妥当かなと思っています。

それは分岐の面白さが全く無い所です。こんなに分岐が面白くなるストーリーは無いのに、本作はその面白さをいまいち活かせていない部分があると思います。まず、過去にメールを送るというシステム上、基本的にプレイヤー側にメールの内容を選ぶ選択肢はほぼ無いです。(全く無い訳ではないが、基本的に過去にメールを送る場合は選択肢が無い)

つまりプレイヤーにはメールを「送る」もしくは「送らない」の二択しか存在せず、しかも次に進むためにはメールを「送る」以外無く、送らなかった場合、直ぐにBADEND(便宜上そう言っておきます)に突入し、セーブした場面からやり直す事になります。

 

例えばこれが、極端な話プレイヤーがかなり自由にメールの内容を弄れたらどうなるでしょうか。序盤のDメールをある程度操作出来たらどうでしょうか。β世界線に行くためにプレイヤー自身が悩み、そして気が付けば取り返しのつかない状態になっていて、セーブ&ロードを使ってゲームをやり直す……まさに、Dメールとタイムリープマシンを使ってまゆりを救おうとする岡部倫太郎のゲーム中の状況の追体験ではないでしょうか?勿論、技術的な部分や脚本的な部分で難しい所はあると思いますが、出来れば相当面白いゲームになる気がしませんか?

 

元々アニメから入った人間なので(ゲームはもちろん面白かったのですが)結局の所、ほぼ一方通行のゲームなのでアニメ以上の何かが無く、「アニメで事足りる」の一言で片付いちゃうんですよね。

例えば僕がこのゲームを他の人に宣伝するなら、「ゲームは面白いけど、買うのが面倒ならアニメ配信見れば十分だよ」って言います。この作品は「ゲームも買った方が良い」とはならないです。なまじアニメがかなり良い作品だっただけに、「ゲーム」でしかできない事が殆ど無いこの作品は、そこで価値を落としていると思います。

 

あともう一つだけこのゲームに不満があるのですが(このゲームに限った話では無いのですが) それは「トゥルーエンドにたどり着くための条件が調べないと無理ゲー」な所です。僕は基本的に、ゲームのクリアはゲームの中だけで達成できるようにすべきだと思っている人間で、ゲーム中にヒントが一切なく、しかもDメールもタイムリープマシンも関係が無い条件で、ゲーム中どうすればいいんだと悪戦苦闘して時間を掛けていた自分が馬鹿馬鹿しくなりました。

 

シナリオやキャラクターがとてもいいゲームなのですが、「ゲーム」として見たときに、そこに面白さはあるのか?という点で、秀作に僅かに届かない良作という結論を出させていただきます。